「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、お近くの「がん相談支援センター」をご利用ください。

悩み

抗がん剤で食欲が低下し、体重も減ってしまって心配。
5 件の体験者の声があります。

助言

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【抗がん剤による食欲不振】

食欲不振は、がんやその治療によって生じるもっとも一般的な症状といえます。症状は人によりさまざまですが、どんなことが原因で食欲不振になっているのか、探してみましょう。


 
【食欲不振に対する工夫のポイント】

食欲不振に対する工夫のポイントを4つ紹介します。

<工夫のポイント>
1. 食欲不振の原因が明らかならば、それを改善する工夫をする
2. 気分のよい時に、食べられるものを食べる
3. 栄養補助食品を利用する
4. 口に合う、たんぱく質豊富な食品をさがす

これらについて、具体的には、以下のような工夫をしてみましょう。


 
【食欲不振の原因が明らかなならば、それを改善する工夫をする】

さまざまなことが原因で起こる食欲不振ですが、原因がわかると対処法が見つかる場合もあります。

食欲不振はさまざまなことが原因で起こります。
治療(手術、抗がん剤治療、放射線療法など)、精神的な動揺・ストレス、既往疾患、がんなどが、食欲に影響を与えると考えられます。

また、他の症状に伴って起こることもあります。
吐き気、おう吐、味覚障害、嗅覚障害、口内炎、口内乾燥、咀嚼・嚥下障害、胸やけ、下痢、便秘、発熱、全身倦怠感、腹部膨満感など

どんなことが原因で食欲がなくなっているのか考え、それに応じた対応をしましょう。


 
【気分のよい時に、食べられるものを食べる】

治療中は正常細胞へのダメージも強く、通常よりもエネルギー量を必要とするため、体力を維持するための食事は重要です。けれども、栄養面や体力にこだわりすぎていると、食べることが「義務感」となり、かえって苦痛になってしまいがちです。
食事の基本的なルールはあまり気にせず、気分のよい時に食べられるもの、好きなものを食べるという気持ちをもちましょう。

1. 食べやすく、栄養をとりやすいもの
(1) 汁物
手軽にたくさんの種類の食品をとる方法として、みそ汁やスープのような汁物をおすすめします。いろいろな食品を一緒にとることで、相互作用が引き出され栄養価が高まります。また、温かいスープや冷たいスープなど工夫して食べてみましょう。
(2) カレーライス・めん類・酢の物
香辛料や味の濃いもの、酸味などで食欲を刺激することもあります。
(3) プリン・茶碗蒸し・豆腐・山いも
食べられるようであれば、たんぱく質が多く含まれている食品を加えるとよいでしょう。また、のどごしを良くするのも、おすすめです。豆類、鶏肉、卵などが比較的加えやすいといえます。
(4) 季節のくだもの・野菜ジュース
何種類かのくだものや野菜を組み合わせて、効率よく栄養をとることができます。旬のものなどを取り入れ、おいしく飲みましょう。ただし、あまり甘くしすぎないように気をつけましょう。
※ イレッサ服用中は、グレープフルーツジュースを控えてください。

◎ 患者さんの声
『のどごしのよいもの、冷たいもの、酸味のあるもの、味付けの濃いもの、食べやすいもの』などが、比較的皆さんに好まれています。 (※ 個人差があります)

2. すぐに食べられる工夫
食事の時間にこだわらず、「今なら調子も少し良いし、食べられそう」というように、自分の身体やこころに問いかけて、気分のよい時にすぐに食べられる工夫をしましょう。

○ 好きなものや食べられそうなものをいつも近くにおいておくと、気分のよい時にすぐに食べられます。
○ おむすびやおかずを小分けにするなどして、冷蔵庫や冷凍庫に入れておくと、食べたい時に電子レンジで温めれば、すぐに食べられます。また、気分のよい時に作り置きしておくとよいでしょう。
○ 食べられそうなものや食べやすかったものを覚えておいたり、作る人に伝えたりするとよいでしょう。


 
【栄養補助食品を利用する】

食事に対する基本的姿勢としては、「食べられる時に食べられるものを」ですが、重度の体重減少またはそう予想される場合は、濃厚流動食(バランス栄養飲料)や他の補助食品などで栄養状態を維持・向上する必要があります。

「栄養補助食品」とは、一般的にはビタミンやミネラルなどのサプリメントがよく知られていますが、通常の食事で必要な栄養が得られない場合に、効率よく栄養を補うために用いるものです。
また、最近の栄養補助食品は、種類や形状、味も豊富になりました。中には、お茶、あずき、黒豆、コーンスープなどの味もあり、飲みやすく摂取しやすいドリンクタイプもあります。

◎ 栄養補助食品の購入方法
「栄養補助食品を買おうと思ったけれど売っていません。どこで買えばいいの?」と、いうような声をよく耳にします。
残念ながら、これらの栄養補助食品は、一般のスーパーなどで買えないものが多いのが事実です。しかし、通信販売などシステムは充実していますので、かかっている病院の管理栄養士に相談して購入できるところを教えてもらうのもよいでしょう。


 
【口に合う、たんぱく質豊富な食品をさがす】

患者さんの多くは食欲不振などの症状から低栄養状態になり、食べやすいものとして糖質系(めん・パン・くだものなど)が中心になりがちです。そのため、たんぱく質の補給がとても重要になります。
けれども、実際にはたんぱく質を多く含む食品は、においなどから敬遠されがちです。患者さんの口に合うもので、たんぱく質が豊富に含まれる食品を探してみましょう。

1. チーズ
料理にのせて焼いてみましょう : パン・ハンバーグ・ホットドック・ピザ・肉・魚・野菜・卵
すり下ろして料理にかけてみましょう : スープ・ソース・グラタン・野菜・マッシュポテト・パスタ
サラダに混ぜてみましょう
料理に加えてみましょう : パスタ・オムレツ・炒り卵・カレー
おやつに加えてみましょう : チーズケーキ・ホットケーキ・クレープ

2. 牛乳・ヨーグルト
飲み物や料理に使ってみましょう : カレー・シチュー・グラタン・卵焼き・スープ・ホットケーキ・ヨーグルトサラダ
インスタント食品に加えてみましょう : シリアル(コーンフレーク)・スープ・ココア
その他 : ドレッシング、魚や肉の下味、ヨーグルトシェイクやヨーグルトアイスなどデザートに

3. 豆・豆腐
煮たり裏ごししたりして食べてみましょう : 茶碗蒸し・あんこ・プリン
料理に加えてみましょう : カレー・グラタン・ハンバーグ・煮物・炊き込みご飯


 
【食感的・視覚的な工夫】

食欲は食べる場所や雰囲気などによっても変わります。庭やベランダなど、いつもと違う場所での食事や、家族・友人と楽しく食事をするなど、気分を変えてみるのも食欲増進に効果的ですので、いろいろな工夫をしてみましょう。

1. 食感的な工夫
温かいものよりも、冷たいものの方が比較的食べやすいと感じられます。冷たくてもおいしく食べられるものを、メニューに取り入れてみましょう。

2. 視覚的な工夫
付け合わせや食器の柄などの色も食欲を増す効果があります。付け合わせは、食べられずに残すことになっても構わないと割り切り、それがあることで少しでも食べたいという気持ちにつながると考えるようにしましょう。
また、盛り付け方も工夫してみましょう。大きな器にたくさん盛り付けてしまうと、「こんなに残してしまった・・・」とか「これだけしか食べられなかった・・・」などと思ってしまうので、少しずつ盛り付け、いろいろな種類を用意してみるのもよいでしょう。


 
【副作用の不安を医師や看護師に伝える】

抗がん剤治療の副作用は使用している抗がん剤の種類やどういう使い方をするかによって異なりますし、個人差もありますので、食欲不振以外の副作用で悩んでいたり、食欲不振の原因がわからずつらいときには、担当医や看護師に相談しましょう。


 

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