「がん体験者の悩みQ&A」では、2003年と2013年に実施した全国調査結果を整理して構築したがん体験者の悩みデータベースを公開しています。このデータベースに基づき、がん体験者の方々の悩みや負担をやわらげるための助言や日常生活上の工夫などの情報ツールの作成等を行っています。
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治療選択の迷い

治療方法の選択に悩む。
25件の体験者の声があります。
手術、放射線、薬物の3つの治療方法を提示され、どの治療も一長一短で悩んだ。
19件の体験者の声があります。
乳房切除手術か乳房温存療法かで迷った。
17件の体験者の声があります。
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助言

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治療の選択で迷う理由は、さまざまです。 未知の治療に対するマイナスイメージ(たとえば、抗がん剤イコール吐く、髪が抜けるなど、放射線治療イコール放射線はからだに悪いという言葉のイメージ、手術の危険性など)や恐れ、医師からの説明に対する理解不足、マスメディアやインターネットによる不正確な情報による混乱や戸惑い、家族や周囲の人々との意見の不一致、これまで他の病気やけがをしたことがあっても、あまり自分で治療を選択したという意識はなかったなかで、自分で治療を決める事への戸惑いなどです。

【病気や治療の説明を聞くときの注意】
治療を選択する前提として、まず自分の状況(病気の状況、全身状態、提示された治療など)について、どのように説明を受けたのか、どのようになっているのか等を十分に理解することが重要です。
検査等がひととおり終わると、担当医から病気や治療の説明があると思います。多くの場合、医師や看護師のほうから、「次回は、どなたかご家族と一緒に来てください」と声をかけられることもあるでしょう。
このような場合の注意点は、以下の通りです。

1. 医師から病気や治療の説明を受けるときは、家族や親しい人に同席してもらいましょう
これは、心強さという面もあります。医師の前ではほとんどの方が緊張します。特に診断結果や治療について説明を聞くときには、内容によっては激しいショックや動揺が起こります。このようなときに、医師の説明のすべてを理解するというのは難しいものです。また、説明でよくわからないことがあっても、そのまま聞き流したり、説明が音としては耳に入ってくるのに後で思い返すと全く覚えていないということもあります。

2. メモをとるようにしましょう
医師の説明を聞くときには、メモを用意し、重要だと思ったことなどをメモしましょう。説明を聞きながらメモをとるのは自信がないということであれば、医師に申し出て、説明を録音してもよいでしょう。ただし内緒で録音するというのは、礼儀に反し、その医師との関係を損ねる原因にもなります。録音する場合は、必ず医師に断ってからにしましょう。また、自分にその余裕がない場合には、同席する家族に要点をメモしてくれるように頼んでおきましょう。

3. わからない言葉があれば、途中でも確認しましょう
医師はなるべく患者さんにわかりやすい言葉を用いるつもりではいるのですが、無意識に専門用語を使用していることがあります。わからない言葉や内容があったら、医師の説明の途中でも、どういう意味か聞きましょう。

4. 気持ちが落ち着いてから、同席した方と、わからなかったことを確認しあいましょう
たとえ、こころの準備をしていても、その場では緊張と動揺で質問する余裕はないかもしれません。
その場合は、自宅に戻ってもう一度同席した方と話をしながら、わからなかったことを確認し、次回の外来の時などに確認しましょう。ショックや動揺が強い場合は、少し気持ちが落ち着いてからでもかまいません。

【治療を選択するときに考えること】
治療の選択を検討するときには、その治療の利点(その人自身にとって、また病気をコントロールするという点で良いこと)だけではなく、欠点(副作用、危険性、合併症の可能性、生活への影響のことなども含めて、その人自身にとって良くないこと)も含めて考える必要があります。
この利点、欠点というのは、“自分自身にとって”ということなので、たとえば『生活の質』という面を考えたときは、その人自身がどういう生活を望んでいるかによって、総合的な利点と欠点が変わることもあります。
また、治療は、どんながんの、どんな時期でも効果があるわけではありません。利点が大きな治療でも、その人のがんには適応にならない場合もあります。
医師は、がんの進み具合や臓器の状態、また患者さんのからだの全体の状況などを十分考慮したうえで、可能な治療方法を説明します。
大切なのは、いろいろな側面から検討して、実際に治療を受ける自分自身で決めることだと思います。

1. なぜその治療が提示されたのか、なぜその治療が必要なのか
担当医は、患者さんのがんの性質や進み具合、臓器の状態、体全体の状況などを十分考慮した上で、治療方法を説明すると思います。
治療を決める時には、現在の病気の状況、自分の体全体の状況を十分理解する必要があります。

2. 治療の効果
治療の効果はどのくらい期待できるのか。治療の目標はどこにあるのか。

3. 治療の副作用、合併症など。
◎ 手術であれば、合併症、後遺症の起こる可能性はどうか。
◎ 薬物療法(抗がん剤治療)や放射線治療では、どのような副作用が、いつ頃起こり、どのくらいの期間続くのか。
◎ 副作用に対して、どのような対応策があるのか。
◎ 今後の日常生活にどのような影響が出ると考えられるのか。

4. 治療のスケジュール
通院治療なのか、入院治療なのか。どういうスケジュールになるのか。

5. 治療の費用
保険適用なのか、保険適用外の自費診療になるのか。
どのくらいの費用がかかるのか(たとえば、薬物療法の場合、1ヶ月、あるいは1回の治療で)など

6. 日常生活や社会生活とのかねあい
仕事、家事や育児、趣味、自分の生き方や価値観など、自分が大切にしていたり、社会での生活の中で、治療により影響が出ると考えられることは何か。

【周りの人に話してみる】
自分だけでは整理がつかないと感じているときには、人に話してみるという方法もあります。ご家族や親しい友人でもかまいません。担当医や看護師さんでもかまいませんが、治療方針決定前は、外来なのでなかなかそのチャンスがないかもしれません。そういう場合は、かかっている病院の相談窓口や、がん診療連携拠点病院に設置してある『相談支援センター』に相談してみてもよいでしょう。人に話していくなかで、自分のなかの問題が整理できて、解決策が見つかる場合もありますし、疑問点が明確になることもあります。

【治療に対して不安があるとき】
治療方法や治療に伴う苦痛などへの不安や悩みがある場合、その根底には治療への理解が不十分であったり、未知の事柄への漠然とした不安があったりします。
その場合、まず重要なのは、納得いくまで担当医にわからない点を確認することです。
もちろん、がんや治療方法について書かれた本を読んだり、インターネットで調べたりする方法もありますが、情報の信頼性や新しさに注意する必要があることと、情報は一般的な情報になります。現在のあなたの病気と治療に関して、一番具体的な情報を持っているのはあなたに病気や治療の説明をした担当医です。

担当医に確認する際には、外来などでは時間も短いため、効率的に確認できるように、わからない点、もう一度説明してほしい点などを整理してメモ書きにしておき、そのメモを見ながら、あるいは担当医に渡しメモに沿って説明を聞くなどの工夫をしてみましょう。

インターネットや本で調べる際には、その情報が信頼できる情報かどうか気をつける必要があります。また、あらかじめ、自分のがんがどういう性質なのか、病期(病気の段階、ステージ)はどうなのかをよく理解した上で調べる必要があります。がんの性質や病期によって、適切な治療が異なる場合がありますので注意が必要です。

<情報を探す時に、注意すべき点>
◎ 情報発信者が明確になっているか
◎ 一方的に偏った情報ではないか (良いことばかり書いてある)   
の2つです。 

インターネットから情報を得ることに慣れていない場合や医療に関してほとんど知識がない場合は、まず公的機関が発信する情報を中心に情報を探しましょう。

【別の医師の意見を聞く セカンドオピニオン】
“早く治療法を決めなければ・・・”という思いが起こるかもしれません。けれども、治療法を決めるというのは、とても大切なことです。もし気持ちがすっきりしないのであれば、最終的に時間を少しおいて、自分の選択や思いを確認するくらいの気持ちの整理が必要かもしれません。
最近では治療法の選択に迷った時など、セカンドオピニオンを受ける方も以前より増えてきました。セカンドオピニオンというのは、直訳すると『第2の意見』で、『診断や治療方針について、現在の自分の担当医以外の医師の意見を聞き参考にすること』をいいます。
ただ、実際にセカンドオピニオンを受けるとなると、多くの場合、予約が必要ですし書類等も必要になり、予約待ちで思った以上に時間がかかることがあります。
それでも、セカンドオピニオンを受けることで、自分なりによく考えて治療を決定できたという方もいらっしゃいます。



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