悩み(分類)

転居にともなう転院の心配



助言


現在、厚生労働省は、どこにいても、誰でも安心してがんの治療が受けられるように、『がん診療連携拠点病院』の指定を進めています。平成26年8月現在、全国407か所の病院が指定を受けています。これらの病院では、がんに関する診療体制(診療機能、専門的な知識や技能をもつ医師や他医療従事者の配置、専門的ながん医療を提供するための治療機器や治療室等の設置など)、情報の収集と提供の体制(相談支援センターの設置など)、他の医療機関との連携などについて国が定めた基準を満たしています。
がんに関する診療では、標準治療に加えて、集学的治療(複数の治療を組み合わせた治療)、緩和ケア等患者さんの状態に応じた適切な治療を提供しています。

転居先の地域のがん診療連携拠点病院について、まず調べてみましょう。地域のがん診療連携拠点病院の情報は、国立がん研究センターがん対策情報センターの『がん情報サービス』のホームページで調べることができます。
それ以外にも、最近ではほとんどの医療機関がホームページを開設しています。また各都道府県で、医療機関に関する情報をとりまとめて公表されつつあります。たとえば、静岡県の場合、『医療ネットしずおか』で、主な病院の手術件数などを公表しています。インターネットや書籍などで情報を得て参考にしてもよいでしょう。

治療を受ける病院や医師を選ぶ際には、まず診断を受けたがんの標準治療はどういう治療なのかを知ることが大切です。『標準』という語感から、一部誤解もあるようですが、標準治療は、有効性と安全性が科学的に高いと証明された、現時点ではもっとも成績の良い治療といえます。あなたの場合に、具体的にどのような治療が標準治療にあたるのかは、がんの位置、大きさ、細胞の性質、広がり方などによって異なります。
病気や治療の情報を知るには、国立がん研究センターのがん対策情報センターが実施しているがん情報サービスの『各種がんの解説』のページが参考になるでしょう。

転居された地域にお知り合いの方がいれば、日常の買い物や交通、病院などいろいろな情報を得ることができて、心強いと思います。
もし、そのようなお知り合いがいなくて、今後の治療や経過観察を受ける病院をどのように探せばよいか困ったときは、転居先にある『がん診療連携拠点病院』の相談支援センターにご相談ください。地域の病院に関する情報を入手できると思います。
相談支援センターは、病院におかかりの患者さんやご家族に限らず、地域にお住まいのどなたでも利用することができます。

現在、治療を継続中であれば、転居に伴い転院しなければならない事情を担当医に伝え、診療情報提供書(患者さんの病気や治療の状況、これまでの経過などが書かれた書類です)、病理組織レポート、他検査資料など必要な資料を担当医に依頼して、出してもらいましょう。これらは、あなたのがんの性質など病気の状況やこれまでの治療経過などを知る上で、重要な資料です。治療を終了し経過観察中であっても、同様です。

転院先では、担当医、看護師など他医療者、病院の設備や環境、病院のシステムなどさまざまなものが、これまで経験してきたものと異なります。そういうときには、無意識のうちに、以前の病院と比較してしまいがちです。特に、これまでの医師との関係や病院での診療に満足感が高ければ高いほど、転院先の評価は厳しくなるでしょう。それは自然なことですが、新しいところに慣れてくると、そこの環境になじんでいくと思います。


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