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治療が終わったら

定期検診

Q.検査をするたび、結果を聞くのが怖くなる。

定期検診の必要性
がんは、手術、放射線治療、薬物療法などで一見なくなったように見えても、目に見えない小さながん細胞が体の中に残ってしまうことがあります。そのがん細胞は、もともとがんが見つかった臓器に残っていて、その場所で再び増殖したり、血液やリンパの流れにのって別の臓器に移動してそこで増殖してしまうこと(転移)があります。
がんがどのくらいの病期(病気の広がりの状況)で発見されたか、どういう性質を持っているのかによっても再発の危険性は異なります。
治療終了後も、経過や再発がないかどうかを診ていくために定期的に通院し診察を受けることが大切です。

定期検診の間隔や行われる検査は、行った治療、再発の危険性(がんの種類、がんの性質、がんの病期など)等によっても異なります。

再発(転移を含みます)が疑われるような症状があったり、検査で怪しいところが見つかると、診断をつけるために詳しい検査を行っていきます。検査結果で、残念ながら再発が見つかることもあります。怪しいところがあっても、確定診断まで至らない場合は、しばらく定期的に検査をしながら推移をみていったりします。

検査結果を聞くまでは
検査結果を聞くまでは、つい悪い方へと考えがちになり、不安や心配は大きいと思います。この不安や心配は、結果がでるまで完全にとれることはありません。経過観察中の方の多くは、「次の検査が近くなれば、また検査と結果が気になるという繰り返しで、気持ちが晴れない」とおっしゃいます。

気持ちの切り替え方ですが、結果が出るまではできるだけ気分転換をしたり、何かに気持ちを集中させたりして、検査結果のことは考えないようにしましょう。検査結果が問題なければ、“今回は大丈夫だった”と考えるより“次の検査までは大丈夫だ”と区切りを前に置いてみてはいかがでしょうか。次の検査までの間の気持ちの持ちようが軽くなると思います。

(更新日:2019年2月25日)
 
こころ

Q.何かあるとすぐがんと結びつけてしまい、不安になる。

再発・転移への不安
再発の不安は、がんを経験された方のほとんどが感じています。こみあげてくる不安や恐怖が抑えられなくなり、涙を流してしまうこともあるかもしれません。それは、ある意味では、がんという病気に向き合うための、あなたのこころや体の自然な反応です。こういった不安が薄らいでくるまでは、とても時間がかかるものです。そして、いったん不安が薄らいでも何か症状があった時や同病者の再発や訃報を聞いた時など、生活のいろいろな出来事の中で再び強い不安を感じてしまうこともあります。
その一方で、不安とどこかで折り合いをつけて、自分らしい生き方を探し出すことができた患者さんもたくさんいらっしゃいます。

不安と折り合いをつける方法は、人それぞれ違います。それは、これまでの人生の中で、自分の中で育ててきた『強さ』の種類が、人によって異なるからです。
『恐れの対象に、毅然として立ち向かっていくこと』は、もちろん『強さ』の一つですが、それがすべてではありません。『つらいことが過ぎ去るのを耐えて待つことができること』や、『問題から目を反らして楽しいことを考えることができること』もまた、その人のかけがえのない『強さ』なのです。

あなたの本当の強さは、なんでしょうか。これまでの人生を振り返って、大きな苦難を乗り越える時に、自分がどうしてきたか、考えてみてください。また、大切にしている人や物事を、ノートに書き出してみてください。大切な何かのためには、自分が考えている以上の力を発揮できるかもしれません。
そして、時間をあなたの味方だと考えてみてください。一般的には、時間が経つごとに、その分だけがんの再発の可能性は少なくなります。また、再発に対する不安も、薄皮がはがれるようにして、少しずつ、自然に癒されていくはずです。

もし、不安が強く頭から離れない時には、精神科医、心療内科医、心理療法士などのこころの専門家や、がん相談支援センターやおかかりの病院の相談室にいる相談員に相談してみてください。話をすることで、自分がどれだけ重荷を抱え込んでいたか、はじめて気づくこともあります。誰かに助けを求めることは、あなたの弱さではなく、あなたの持つ強さの一つだと考えましょう。

(更新日:2019年2月25日)
 
体の回復

Q.普通の生活ができるのだろうか。

手術や薬物療法などの治療によって体に起きる変化
手術後退院に際しては、手術部位や手術内容によって、生活面で気をつけておくべきことや、体の動かし方に関する注意点や指導を受けることがあります。特に制限等はないと説明があった場合でも、気になることがあれば、担当医や看護師によく聞いて確認しておきましょう。また手術内容によっては体の機能の一部が使えなくなったり、働きが悪くなり、その状況に合わせて生活を調整しなければいけないことがあります。このような場合、入院中から練習を開始して一人でできるように、あるいは少しずつ身につくように医療スタッフが支援します。ただ、外来通院になってからも、細かい疑問や不安が出てくることがあります。外来でも遠慮せずにわからない点などは確認しましょう。

通院治療で放射線治療や薬物療法(抗がん薬治療)を行った時も同様です。治療が終わると徐々に副作用症状は改善されますが、中には神経障害(手足のしびれ)や味覚障害など長期間続いてしまうものもあります。

“いつまでに回復するか”、“どこまで回復するか”等、患者さんは、ご自身の目安や具体的な数字を不安解消のためにも知りたい方は多いと思います。けれども、もともとの生活習慣や体力、体の機能も人によってさまざまですから、万人に通じる『いつからいつまで』というようなタイムスケジュールがあるわけではありません。

できる自分を見つけましょう
一般に、手術や薬物療法などの治療によっていったん低下した体力や体の機能は、時間が経つにつれて徐々に回復していきます。
手術後のリハビリテーションは、病院のスタッフの指示を守り、無理せず、こつこつと続けるようにしましょう。ただ、人の体には個性があり、必ずしも担当医の予想通りに体力が回復するとは限りません。そんな時には、焦りは禁物です。
仕事への復帰など、自分のしたいことをまず念頭に置いてから、現実の体調のことを振り返ると、『できない自分』に直面し、つらさがつのってしまうかもしれません。
大切なことは、『できる自分』に気づき、自信を取り戻すことです。
あなたは、治療を受けた直後に比べれば、ずっと回復し、いろいろなことができるようになってきたはずです。気持ちが沈んだ時には、そのことをまず、思い出してみてください。

できることから順番に積み重ねて自信をつける
自分がしたいことを具体的に書き出してみましょう。
具体的にイメージできたら、次に、その目標と今の自分との間を埋めるために、あなたがのぼっていくべき『階段』を考えてみましょう。
無理をしない範囲で、少しずつ、体やこころを慣らしていくことが大切です。

焦らずに自分のペースで
目標までの『階段』を、計画通りのペースでのぼれない時にも、焦る必要はありません。
焦りがつのったり、気持ちが揺れたりした時には、ちょっと一休みしてみましょう。
そして、『階段』の先の方ではなく、これまであなたがどれだけの高さをのぼってきたか考えてみましょう。
病気の治療直後には、できるはずがない、と諦めていたことのうちのいくつかは、今はもう、できるようになっているのではないでしょうか。自信を持ってください。
そして、思い描いていた『普通の生活』とは少し違うかもしれませんが、新しい『自分らしい生活』のイメージも、少しずつ見えてきたのではないでしょうか。
時間が経つことで、体力は少しずつ回復します。それと同時に、こころもまた、新しい状況を受け止めるための力をつけていくはずです。
時間はあなたの味方です。自分のペースで、一日一日を積み重ねていきましょう。

サポーターをもつ
手術後退院した後や治療が終わった後は、嬉しいというより、地に足がついていないような不安があるとおっしゃる患者さんの声を何度も聞いたことがあります。治療が終わっても、どこかがんと診断される前とは違うような気がしたり、周囲の人々が特別な目で自分を見ているような気がすることもあるそうです。自分がひとりぼっちになってしまったような孤独感や孤立感を感じることもあると言われます。

治療が終わった後も、率直に自分の気持ちを話せたり、あなたを支えてくれるサポーターを見つけることは、自信と安心を与えるかもしれません。サポーターは、がんと診断される前も、あなたのまわりに何人もいたと思います。ただ、ほとんどの方は、そういうことを意識することはないかもしれません。

患者団体などに参加し、同病者のサポーターとの出会いがある人もいれば、同じ病気ではなくても、お互いがお互いを理解し何でも気軽に言い合えたり、気兼ねなく頼めるサポーターを以前からの友人や職場の仲間の中に見いだす人もいます。もちろん、ご家族もサポーターの一員です。そして、このサポーターは一方的なものではありません。あなた自身がこれらの人々のサポーターでもあります。

同病者の方や同じ治療を受けた方の話は、患者さんにとって大切な気持ちの分かち合いとなり、こころのケアになることがあります。また、同じような経験をしているからこそわかる細やかな情報が得られることもあります。日常生活の中で困ったことなども、それぞれの経験に基づいた具体的な情報、アドバイスを得ることができるかもしれません。
ただ、人はそれぞれなので、同病者の方でなければいけないということではありません。
確かに同じ病気でなければわからないつらさや気持ちの揺れもあると思いますが、同じ病気であっても、つらさを感じる度合いも、何を大切にしているのかも、がんとの向き合い方も異なります。それだけ、これまでの生き方や、人との関わり方、価値観の持ち方など人によってさまざまなのだと思います。

職場に少なくとも一人、サポーターがいることは、あなたにとっても心強いはずです。これまでの職場での付き合いを振り返ってみましょう。少しでも心が許せた人、あるいは仕事をする上でのサポーターだった人、お互いにとってサポーターだった人はいなかったでしょうか。もしそういう人がいれば、新たな関係を築き上げることなく、あなたが気持ちを言葉にして伝えることで、職場にもサポーターを得ることができると思います。

(更新日:2019年2月25日)
 
仕事や家事について

Q.いつから仕事や家事ができるのだろうか。

家事や仕事の再開
病状や受ける治療の内容によっては、一時的に体力が落ちたり、体の機能が低下したりすることがあります。家事や仕事復帰は、担当医ともよく相談しながら決めていきましょう。できれば、最初は少しずつ始めて体を慣らしていったほうがよいでしょう。仕事復帰する場合は、仕事の内容や勤務形態の種類等により異なりますが、上司と相談して、徐々に体を慣らしてもよいでしょう。職場に産業医や産業カウンセラーがいる場合は、相談しながら復帰を考えていきましょう。

仕事に復帰する際には、大前提として、『自分の体のことは、自分で責任をもって守り、いたわる』という気構えを持っておくことが大切です。その上で、必要に応じて、周囲の理解や協力も求めていきましょう。
また、仕事内容にもよりますが、仕事復帰直後から手術前と同じように100%のペースで仕事をするのではなく、できることなら、職場の仲間や上司と相談して、仕事の量を減らしたり、軽い仕事から始めさせてもらったりしましょう。
大切なことは、無理をしないでいい範囲で、少しずつ、体とこころの両方を慣らしていくことです。
時間が経つことで、体力は少しずつ回復します。それと同時に、こころもまた、新しい状況を受けとめるための力をつけていくはずです。

周囲の人は、治療がどんな影響をもたらすのか、あなたがどのようなことに不自由を感じているのか、“教えてもらわないと分からない”と思っているのかもしれません。回復途中にある時は、状況が変化するのでなおさらです。
協力してほしいことは、あなたから口に出すようにしてみましょう。周囲の人が負担に思うことは少なく、思いを聞くことで、あなたのことをより理解できるようになると思います。
治療後の体と社会生活の適応をはかっていく時、予想しない問題にぶつかったような気持ちをもったり、気疲れしたりすることがあるかもしれませんが、少し前のことを振り返ってみると、回復を感じられると思います。

役割について
治療が終わっても、がんと診断され治療を行っていく時間のなかで、あなたのまわりはいろいろと変化すると思います。あなたの代わりにご主人が家事やお子さんの世話をしたり、あなたの仕事を他の方が引き継ぐこともあります。地域での役割も途中で人にかわってもらったこともあるかもしれません。
仕事や近隣との関わりが減ると、“社会の流れについていけない、取り残される”といった気持ちになることがあります。
一時的に役割を譲って、また復帰できる場合もありますし、健康状態によっては、以前より活動の範囲を狭くすることもあると思います。自分が行ってきた役割を人に譲る時、自分の存在が小さくなったように感じるかもしれません。けれども、社会生活だけでなく、家庭のなかでも生活しているので、家庭内で新しい役割ができる場合が多いと思います。ご家族が帰ってきた時に「おかえり」と迎える、夕食後にご家族のお茶をいれるということでも家族間の結びつきが再確認できると思います。
これまでに周囲の人が困っていると、放っておけないと思って手助けしたり、逆に、助けられたと感じたことがあると思います。人はこのように、お互いに助け合い、影響し合って生きているので、存在が無意味ということはありません。
日々の生活の過ごし方を決めるのは、その人自身です。“今までできていたことができなくなった”と思うよりも“今まで気づかなかったこういうことができた”という喜びなど、プラス思考の出来事や思いを大切にし、かみしめていくことが、体とこころの底力になるのではないかと思います。

職場の人々とのコミュニケーション
職場に復帰する際、誰にどのように話すか等悩まれることも多いと思います。誰に話をするかですが、まずはプライバシーを含め信頼できる親しい人、また上司に打ち明け、相談してみてはどうでしょうか。傷病手当などの各種手続きの関係などで、事務関連部門にはある程度伝える必要がありますが、誰にどこまで話すかどうかはあなた次第だと思います。確かに、人によって反応もさまざまだと思いますし、人の理解の仕方もさまざまです。その一方、職場にもあなたをサポートしてくれる存在がいることは心強いといえるでしょう。
会社への連絡や仕事の調整が必要な場合は、上司には気軽に頼めなくても、親しい人であれば、協力を頼みやすいかもしれません。
今後の定期通院を続けていく上で、環境を整えていくことは大切な作業です。仕事場の環境もその一つといえるでしょう。
病名をどのように伝えるか、病状をどこまで伝えるか、治療をどのように伝えるかなど1つ1つ考えていかなければいけませんが、職場でもあなたの味方、あるいはサポートをしてくれる人は必ず必要になってくるでしょう。誰にどこまで伝えるかを考えた上で、時間をとってもらい、まずその人に相談を含めて話してみましょう。

職場というのは、家族や友人ほど、あなたとの関係が近いわけではありませんが、毎日多くの時間を過ごす場所でもあります。あなたが伝えなければわかってもらえないこともあると思います。また伝えることで、あなたのこころ、あるいはあなたの状況を理解してくれて、仕事の面からサポートしてくれる人も見つかるかもしれません。
このように考えると、体の状況等から、配慮をして欲しいと思うことに関しては、自分の口から、周囲の人に伝えて理解してもらうことが大切だと思います。

仕事を続けるか迷っている時
仕事をどうしていくかは、実生活では、生活や経済面と大きく係わります。ただ、それだけではありません。患者さんによっては、がんの治療が終わっても、自分だけが社会から取り残されたような感覚に陥ってしまうといわれる方もいらっしゃいます。仕事はある意味社会と接する機会です。仕事を続けること、仕事に復帰することが自分らしさを保つことにもつながるという方もいました。ですから、早急に結論を出さずに、時間をかけて考えていきましょう。
現実的には残念ながらあなたが仕事を続けたいと思っても、会社から「病気が治るまで休むように」といわれたり、配置転換になったり、リストラ、自主退職をにおわされることもあるかもしれません。
現在向き合っている自分の生活、自分の体を見据えながら、目の前にある問題を1つ1つ片付け、具体的で小さい目標を設定しながら、少しずつ事を進めていくことが大切です。
たぶん、がんと診断されてから、理不尽と思うこと、なぜ自分がという思い、働きたくても体がついていかないと感じる時などさまざまなつらさを感じておられると思います。山や谷があると思いますが、一人ですべてを考える必要はありません。できるだけ情報を集め、同時にあなたが気持ちを分かち合える人や支えてくれる人を見つけていきましょう。同じ患者さん同士、病院のソーシャルワーカー、あるいは職場に産業カウンセラーや産業医がいれば、そういう方々もあなたのサポーターになってくれるはずです。
仕事を辞めるかどうか考える時、これまでの日々を振り返り、自分にとっても、周りの人にとっても、どのような状態がよいのか、そして仕事の意味について、改めて問い直すことでしょう。
人が何に価値を置くかは、それぞれ異なります。以前と状況が異なれば、ちがう判断を下すこともあります。

仕事復帰、退職のどちらを選んでも、以前の状況とは違う新しい生活が待っています。その時、その時の状況で、自分に一番合った生活を確立していくために、いろいろな人に相談してみるとよいと思います。身近な家族は体や経済面について、友人は以前と現在のあなたの考え方について、意見を言ってくれるかもしれません。仕事の負担、仕事と通院の調整という問題は、上司に相談するとよいでしょう。また、がん診療連携拠点病院の『がん相談支援センター』やおかかりの病院の『相談室』にいるソーシャルワーカーに相談してみるとよいでしょう。ソーシャルワーカーは、就労に関するさまざまな制度について専門的な知識を持っています。守秘義務があるため、あなたが話した内容が外にもれてしまうようなことは決してありません。また、労働基準監督署等に設置されている『総合労働相談コーナー』でも、病気に関係した就労上の悩みを相談できます。
いろいろと話している内に、自分がどうしたいか見えてきたり、有用な情報を入手できたりします。

解雇について
法制度上は、会社には労働者を解雇する権利(解雇権)が認められています。このため、体の状態や職場の環境によっては、たとえあなたが仕事を続けたいと希望しても、本意ではない部署に配置換えされてしまったり、解雇されてしまったりすることもあるのが現実です。
ただし、『解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする』という労働基準法第18条の2の規定をはじめ、会社による解雇権の行使には一定の制限が課されています。
たとえば、一般的には、がんを含めて、『病気である』という事実そのものは、解雇の理由にはなりません。
しかしながら、病気によって、所定の業務を継続することが困難になると、解雇の合理的な理由とみなされる可能性が出てきます。ただし、その場合であっても、会社は配置転換の可能性などを検討して、解雇を避けるための努力をすべきである、という考え方が、判例によって示されています。
解雇の理由となりうる具体的な条件は、会社やあなたが結んでいる労働契約によっても変わってきます。解雇の要件は就業規則に明記されているので、必要に応じて調べておいた方がよいでしょう。

(更新日:2019年2月25日)
 
在宅介護

Q.治療は終わったけれど、自宅に戻ってからも介護が必要。

介護保険を活用してサービスを利用する時の手続き
介護保険を使ってサービスが受けられるのは、65歳以上の寝たきりや認知症などの方、もしくは40歳以上64歳以下で特定の疾病のために介護が必要と認められた方(要介護認定を受けた方)です(がんも特定疾病の一つに含まれるので、介護が必要という認定を受けた場合は、介護保険を使ってサービスが受けられます)。
介護保険を活用すると、介護医療院(「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話(介護)」を一体的に提供する施設)、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などの施設で入所サービスを受けることができます。また、ご自宅で食事、入浴、排泄等の身体介護、掃除、洗濯、調理などの生活援助、通院のための乗車や降車の介助などを受けたり、デイサービス等を利用したりすることができます。
介護保険を活用してサービスを利用するためには、市区町村に申請し、『介護(の予防)が必要』という認定を受ける必要があります。この認定のことを『要介護認定』といいます。要介護認定の申請手続きの概要は次の通りです。

■ 申請窓口: 市区町村の介護保険担当窓口
■ 申請者: 本人、家族のほか、居宅介護支援事業者等も申請を代行できます
■ 持参するもの: 介護保険被保険者証、印鑑
注)本人が、40歳から64歳の場合は、公的医療保険の被保険者証
■ 介護保険要介護(要支援)認定申請書(市区町村の窓口やwebサイトから入手可能)
注)申請書類には、担当医の氏名、医療機関名、所在地、電話番号を記入することになるので、あらかじめ確認しておきましょう。

要介護認定を申請すると、申請者への市区町村の職員による訪問調査があります。病状にもよりますが、入院している場合は入院先を訪問してもらうこともできます。
訪問調査と並行して、担当医には、市区町村から意見書の作成が依頼されます。
要介護認定は、訪問調査の結果と担当医の意見書を合わせて検討し、決定されます。
認定結果は、申請から原則として30日以内に通知されます。

緊急を要する場合には、認定結果が出る前に、前倒しでサービスを受けることもできます。この場合、サービスの費用の全額をいったん自費で支払い、認定結果が出た後に領収書を市区町村に持参して、保険給付分の払い戻しを受ける手続きを行います。

介護保険を活用すると、食事、入浴、排泄等の介護をはじめ、自宅でさまざまなサービスを受けることができます。これらの居宅サービスの自己負担は、年金収入等の所得金額により、1割から3割になります(年金収入等が、280万円未満の場合は1割。2割や3割負担の場合も、月額44,400円の負担の上限があります)。
また、状況によっては、デイサービスを利用したり、介護老人保健施設等での入所サービスを受けたりすることもできます。これらのサービスでは、1割の自己負担のほか、食費や居住費の負担が別途必要になります。
サービスの利用に際しては、『居宅介護支援事業者』に所属するケアマネジャー(介護支援専門員)が状況に合ったサービス利用計画を立てます。地域の居宅介護支援事業者の一覧は市区町村の介護保険担当窓口等で確認できるほか、インターネットでは、WAM NET(ワムネット)などでも調べることができます。

介護保険を利用した在宅での療養生活に関して、具体的な希望や気になることがあれば、ケアマネジャーに相談してみましょう。
また、介護保険に関する詳しい情報や、その他の経済的な悩みなどについては、おかかりの病院の医療ソーシャルワーカーに相談してみるとよいでしょう。

自治体の福祉サービスを利用する
自治体によって、住民に対する福祉サービスを行っており、あなたが利用できるサービスがあるかもしれません。
自分だけの問題として抱え込まないで、地域包括支援センター、介護保険施設、行政、病院など、さまざまな相談窓口を活用しましょう。

(更新日:2019年2月25日)