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再発・転移したとき

医師の説明を聞く

Q.医師から説明を聞く時のポイントは?

再発・転移とはどういうことか
がんは、手術、放射線治療、薬物療法(抗がん薬治療)などで一見なくなったように見えても、目に見えない小さながん細胞が体の中に残ってしまうことがあります。がんがどのくらいの病期(病気の広がりの状況)で発見されたか、どういう性質を持っているかによっても再発の危険性は異なります。
そこで、患者さんのがんの状態に合わせて、できるだけ徹底的に目に見えないがんも残さないように手術後に薬物療法を行ったり、手術と放射線治療を組み合わせたりなどの集学的治療もいろいろ行われるようになっています。これは、がんが再発する可能性をできるだけ下げるようにするためです。けれども、残念ながら目に見えないがん細胞が、もともとがんが見つかった臓器に残っていて、その場所で再び増殖したり、血液やリンパの流れにのって別の臓器に移動して増殖してしまうこと(転移)があります。

説明を聞く時の心構え
再発の疑いがあると、診断をつけていくためにいろいろな検査を行い、検査結果が全部(あるいは確定診断がつく段階まで)そろったら、患者さんにどのような結果だったかの説明が行われます。今後の方針については、検査の総合的な結果と同時に説明がある場合、あるいは少し時間をおいて詳しく説明が行われる場合など、状況によって異なります。

◎  治療の説明は、ご家族や親しい友人に同席してもらう                                    
がんの診断や治療の説明を受ける時、不安と緊張でいっぱいだと思います。
最初に心がけておいていただきたいのは、治療の説明を受ける際は、できるだけ一人で聞かずに、ご家族や親しい方に同席してもらい、一緒に話を聞いてもらうことです。
これは、心強さの面もありますが、理解や確認の面でも大切なことです。特に、再発の疑いがある時には、最初の診断を聞く時以上に、ショックや動揺が起こりやすくなります。このような時に、担当医の説明のすべてを理解するというのは難しいものです。また、説明でよくわからないことがあっても、そのまま聞き流したり、説明が音としては耳に入ってくるのに後で思い返すと全く覚えていないということもあるからです。

メモをとる準備をしておくとよいでしょう。説明を聞きながらメモをとるのは自信がないということであれば、医師に申し出て、説明を録音してもよいでしょう。ただし、内緒で録音するというのは、どのような場合でも礼儀に反し、相手との関係を損ねる原因にもなります。録音する場合は、必ず医師に断ってから録音しましょう。あるいは、同席するご家族にメモをとってもらってもよいでしょう。

◎ わからない言葉があれば、途中でも確認しましょう  
医師はなるべく患者さんにわかりやすい言葉を用いるつもりではいるのですが、無意識に専門用語を使用していることがあります。わからない言葉や内容であったら、医師の説明の途中でも、どのような意味か聞きましょう。

◎ 同席者と説明された内容を確かめ合いましょう
たとえ、こころの準備をしていても、その場では緊張と動揺で質問する余裕はないかもしれません。
その場合は、自宅に戻ってもう一度同席した方と話をしながら、わからなかったことを確認しましょう。同席者と説明された内容を確かめ合うことは、お互いの理解を深めることにもなりますし、人に話すことで、自分の中で説明された内容をもう一度整理する機会にもなります。
ショックや動揺が強い場合は、少し気持ちが落ち着いてからでもかまいません。わからなかったことは、次回の外来の時などに確認しましょう。

混乱しているこころと頭を整理する
混乱しているこころと頭を整理するために、最初に説明内容をどの程度理解できたか、わからない点、疑問点を整理してみましょう。
一人で聞いた時には、一度少し時間をおいて(たとえば、当日は混乱しているようであれば、それ以上考えず、翌日以降考えるなど)、説明を受けた内容を書き出し、整理してみましょう。あるいは、口に出し、ご家族に説明してもよいでしょう。人に説明することは、ご自分の頭の整理にもなります。

治療法については、
◎治療の目標・目的
◎期待できる効果
◎副作用
◎起こりうる合併症
◎その他の治療法と比べての利点と欠点
などを理解することが大切です。
頭を整理し、わからない点、疑問点があれば、それも書き出してみましょう。

(更新日:2019年2月25日)
 
こころ

Q.ショックで頭が真っ白になった。

衝撃や動揺が落ち着くまでは
悪い知らせ(病気の説明など)を告げられた時には、強い衝撃を受け、頭が真っ白の状態になっても不思議はありません。精神的に不安定になることもあります。このような時は、病気や治療のことよりもまず、つらさを感じている自分のこころを少しでも守り、落ち着いてくるのを待つことが大切です。
自分を見失いかけるほどのショックは、一人で抱え込むには重すぎることです。あなたがこころを許せる人、気持ちを話せる人に、つらさを伝えてみましょう。人に話すことで、気持ちが楽になったり、自分の頭の中の整理ができるきっかけになることもあります。
時間が経って、少し気持ちが楽になってきたと感じたり、“○○ってどうなんだろう”と担当医の説明内容を振り返ったり、日常生活のことに目が向いたりしてくると、こころが少しずつ変化してきたサインの一つといえるかもしれません。その時点から、病気や治療のことを少しずつ考えていきましょう。

ご家族や周囲の方も、担当医の説明内容を聞くと、患者さんと同じように衝撃を受けます。その一方で、ご家族は衝撃を受けている患者さんを見て、患者さんに代わって治療法などの情報を探される場合があります。けれども患者さん本人は、周囲からの声を冷静に聞き、判断するこころの準備ができていないこともあります。ご家族や周囲の方も、すぐには動かず、まず、患者さんの気持ちが少しずつ落ち着いてくるまで、見守ってあげましょう。そして、患者さんの気持ちが、少しずつ落ち着いてきて担当医の説明内容を振り返ったり、病気の状況や治療のことなどに関する言葉を口にされるようになったら、そこから患者さんと一緒に考えましょう。また、ご家族のこころも患者さんと同じようにショックを受け、つらいことに変わりはありません。そういう時は、患者さんと同様、すぐに動かず、自分のこころが少しずつ落ち着いてくる時間を待つことが大切です。

がんの再発で、自分や他の人を責める必要はありません
がんが再発したことは、本当につらい事実です。ただ、それは誰のせいでもありません。
あなたは治療の各段階で、その時々の体やこころの状態、時間、お金など、いろいろな条件の範囲内で、あなたができる最善の選択をしてきたはずです。
ですから、たとえ結果的に再発を避けられなかったとしても、そのことで後悔したり、自分を責めたりする必要はありません。
病気の再発というつらさと向き合っている今、自分で自分を責めるという、もう一つのつらさを抱え込まないようにしてください。同じように、再発の原因を、担当医や自分以外の誰かのせいであるかのようには考えないでください。
大切なのは、今のことであり、これからのことです。自分の病気に何ができるか、その内容や目標を、担当医とよく話し合ってください。

具体的な未来が見えると不安が軽くなることも
あなたの中では、今後の病状の変化について“知りたい”という気持ちと、“知りたくない”という気持ちの2つが入り混じっているのかもしれません。
病気とどう向きあうか、最終的に選べるのはあなたしかいません。“知りたい”という気持ちがわいてきた時は、こころが準備を整えた、一つのタイミングだと思います。
病気に関する不安は、そのままにしておくと、悪い方にふくらませてしまいがちです。漠然とした不安を乗り越えるためには、状況をきちんと理解することが出発点になります。
その上で、何かしら、あなた自身が自分の力でできそうな、具体的な目標を立ててみましょう。
はっきりとわかる、具体的な目標を、一つずつこなすことの積み重ねが、未来へと続いて行きます。足元を見ながら、一段一段、階段を登っていくような気持ちで、生活や治療を積み重ねていきましょう。

具体的に今しなければいけないことを考える
医師から、治療の目的は『がんとできるだけうまくつきあっていく治療』と説明を受けたり、医師によっては、『延命治療』という言い方をする医師もいると思います。『延命治療』と言われると、死を身近なものとして意識し、先行きのことを考え不安になってしまうことがあります。ただこういうことは、考え始めると、どんどん悪い方へと考えてしまいがちで、精神的にも落ち込み、ご自分がつらくなってしまいます。
このような時は、まず今の状況に考えを切り替え、目の前にある具体的にしなければいけないことをどうしていったらよいか考えてみましょう。少なくとも、あなたは今がんという病気と向き合うための治療を続けているわけです。大切なことは、自分の今の生活のために、行わなければいけないことや調整を一つ一つこなしていくことだと思います。

(更新日:2019年2月25日)
 
治療方法を選択する

Q.どんな治療があるのか、どの治療がよいのか。

がんとできるだけうまくつき合っていく治療
がんの治療の目的には、『治すための治療(治癒をめざした治療)』と『がんとできるだけうまくつき合っていく治療』があります。再発した後の治療は、もともとのがんの性質や状況によって、治療の目的も変わります。医師から、治療の目的は「がんとできるだけうまくつき合っていく治療です」と説明された際、患者さんやご家族は、『治すための治療(治癒をめざした治療)』ではないという否定的な意味合いを感じ、強いショックや動揺を受けることがあります。
ただ、『がんとできるだけうまくつき合っていく治療』というのは、決して後ろ向きの治療でもないし、意味がない治療というわけでもありません。
患者さんの生活の質(QOL)を大切にし、がんの進行をできるだけ抑えたり、がんに伴うつらさをやわらげたりする治療を行っていくのです。現在は、新しい治療薬の開発や、いろいろな治療の工夫がされ、症状をコントロールしながら長期間の生存も可能になってきています。

焦らずにこころを守りながら、考えていきましょう
検査の結果、再発(転移)していたという説明を受けると、強い衝撃を受け、頭が真っ白の状態になっても不思議はありません。治療の説明を受けても、耳を素通りしてしまうことも多いと思います。一見、とても冷静に受けとめているようにみえて、頭の中はぐるぐるといろいろなことが駆け巡っていたりします。
自宅に戻ってからも、しばらく精神的に不安定になることもあります。このような時は、病気や治療のことよりもまず、つらさを感じている自分のこころを少しでも守り、落ち着いてくるのを待つことが大切です。

時間が経って、少し気持ちが楽になってきたと感じたり、“○○ってどうなんだろう”と担当医の説明内容を振り返ったり、日常生活のことに目が向いたりしてくると、こころが少しずつ変化してきたサインの一つといえるかもしれません。その時点から、病気や治療のことを少しずつ考えていきましょう。

ご家族や周囲の方々も、担当医の説明内容を聞くと、患者さんと同じように衝撃を受けます。その一方で、ご家族は衝撃を受けている患者さんを見て、患者さんに代わって治療法などの情報を探される場合があります。けれども患者さん本人は、周囲からの声を冷静に聞き、判断するこころの準備ができていないこともあります。ご家族や周囲の方々も、すぐには動かず、まず、患者さんの気持ちが少しずつ落ち着いてくるまでは、見守ってあげましょう。

そして、患者さんの気持ちが、少しずつ落ち着いてきて担当医の説明内容を振り返ったり、病気の状況や治療のことなどに関する言葉を口にされるようになったら、そこから患者さんと一緒に考えましょう。また、ご家族のこころも患者さんと同じようにショックを受け、つらいことに変わりはありません。そういう時は、患者さんと同様、すぐに動かず、自分のこころが少しずつ落ち着いてくる時間を待つことが大切です。

全体の状況を考えてみる
気持ちが落ち着いてきたら、まず担当医の話をきちんと理解できているか、よくわからないところはないかを少しずつ考えてみましょう。これは自分が今後どのようにしていくかを考えていく上で、とても重要です。
深刻な説明内容の時、自分では覚えているつもりでも、最初の衝撃が強く、あとの話はただ耳を通り過ぎるだけで頭に入ってこないこともよくあります。できれば、ご家族や自分がこころを許せる人と話をしながら整理していきましょう。人に話すということは、頭の中を整理することにもつながります。担当医の説明は、患者さんの病気の状況、全身状態を考え、がんの治療を行うことのプラス面(期待できる効果やその患者さんの生活の質(QOL)との関係など)とマイナス面(治療を行うことでの危険性、副作用、体へのダメージ)を検討した上でのことだと思います。
がんの治療には、手術や放射線治療、薬物療法(抗がん薬治療)などの治療法がありますが、治療法が多彩にあっても、全ての方に、どの治療法も行えるというわけではありません。今後、他の病院でのセカンドオピニオンを受けるにしても、ご自分の現在の状態と治療のプラスな側面とマイナスの側面、生活の質(QOL)について、よく考え理解した上で、行動を起こすことが大切だと思います。

ともに治療に取り組む
治療は、どんながんの、どんな時期でも効果があるわけではありません。一般にプラスの側面が多いと言われている治療でも、その人のがんには適応にならない場合もあります。
担当医は、がんの進み具合や臓器の状態、また患者さんの体全体の状況などを十分考慮した上で、可能な治療法を説明します。提示される治療が1つであっても、良い効果が期待できる場合もあります。治療法を2つ提示されたとしても、実際に受ける治療はどちらか1つです。
決断する時、また決断したはずの治療でも治療が進む中で副作用が出たりして、気持ちがまとまらない時には、担当医からきちんと説明を受けることが大切だと思います。わからない点や疑問があれば質問しましょう。患者さんと医療者がともに治療に取り組むことで、患者さん自身が持っている力を闘病に活かし、その人らしく生活することができると思います。

最も確かな情報を持っているのは担当医です
現在の病状について最も情報を持っているのは、あなたの担当医です。ですから、治療についてわからない点や不安な点などは、まず担当医に確認や相談をしましょう。
ただ、病気の状況、がんの性質、体の特徴は人それぞれ、異なる部分がたくさんあります。これからの病状の変化については、担当医でも『平均的にはこうです』といった具合に、ある程度の範囲でしか予測できないことも多いのです。また、検査の結果がきちんと出そろっていない段階では、はっきりしたことは言えません。
一般的な病気や治療の経過については、インターネットや書籍でも把握することができます。けれども、あなたの体にその情報が合っているかどうかは分かりません。気になる点があれば、あらかじめ聞きたいことをメモ等に箇条書きに整理してまとめ、担当医に意見をたずねてみましょう。
担当医と話をする時には、信頼する家族や友人に同席してもらうと、安心できますし、あとで情報を確認し合うこともできます。

(更新日:2019年2月25日)
 
セカンドオピニオン

Q.セカンドオピニオンってどうすれば受けられるの?

セカンドオピニオン
セカンドオピニオンというのは、直訳すると『第2の意見』で、『症状や治療法について、現在の自分の担当医以外の医師の意見を聞き、参考にすること』をいいます。
これは、
◎ 診断や治療方法が自分に合っているか確かめたい
◎ 他の治療方法がないか知りたい
などの場合に、ご自身が納得して治療を選択し受けるために、他の医師の意見も聞いてみるという方法です。

セカンドオピニオンを受ける効果は、次のようなことが考えられます。
○ 診断や治療の妥当性(適切性)を再確認することで、納得して治療を受けることができます。
○ 現在の担当医の提示する治療法以外の治療法の情報を得ることもあります。

セカンドオピニオンを受ける際には、担当医に「セカンドオピニオンを受けたい」とはっきりと申し出ることと、セカンドオピニオンは病院を移ることではなく、他の医師の意見を聞くことであることをよく理解することが大切です。
もし、セカンドオピニオンを受けた病院での治療方法を選択しようと決心したら、その旨を現在の担当医に伝え、改めてその病院を受診するようになります。最初から病院を移るつもりの場合は、セカンドオピニオンではなく、転院として担当医に申し出ることになります。
“言い出しにくいから内緒で”と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、何も情報がないまま他の病院に移ると、また一から検査をしなければいけません。時間もお金もかかりますし、もし過去にがんの治療をされたことがある場合、その情報がないというのは、患者さんの病気をよく理解するための大事な手がかりを失うことになります。

(更新日:2019年2月25日)
 
補完代替療法

Q.がんによく効いて、副作用もないらしい健康食品を使ってみたい。

代替療法について
私たちは通常、西洋医学の考え方に基づいた医療を、病院で受けています。手術療法、薬物療法、放射線療法を中心とする一般的ながん治療も、この中に含まれます。
これに対して、『代替療法』(代替医療)と呼ばれるものには、漢方薬、気功、鍼灸、指圧、マッサージ、カイロプラクティック、健康食品、サプリメント、いわゆる民間療法などが含まれます。
まず、きちんと理解しておかなければならないことは、がんに効く、がんの再発を抑えるという点について、厳密な科学的な検証によって、代替療法の有効性を示されたことは、これまでにないということです。一方、『不安、悪心、リンパ浮腫に対するマッサージ』、『サポートグループ』、『認知行動療法』など、つらさを和らげたり、こころの支えになったりする点では、代替療法は有効的な場合もあります。
代替療法は、あくまでも、一般的ながん治療(手術療法、薬物療法、放射線療法)の補助と考えてください。あなたのこころの支えになることは、あるかもしれません。
ただし、一般的ながん治療さえ受ければ、どんな代替療法でも行ってよい、というわけではありません。代替療法の中には、並行して行う治療や、あなたの体調次第では、大きな問題を引き起こしてしまうものもあります。
代替療法を使う時には、一般的ながん治療をきちんと受けるだけでなく、専門的な知識を持ち、あなたの体の状態をよく知っている担当医に、事前にきちんと相談する、ということが大前提となります。

悩みを打ち明けてください
代替療法に対する医師の考え方には幅があります。
あなたのこころの支えになるということを重視して、代替療法の使用に寛大な医師もいます。逆に、危険からあなたの体を守ることを重視して、否定的な態度を取る医師もいます。
ただ、いずれにしても大切なのは、悩みを打ち明けることです。あなたが“代替療法を使いたい”と考えた背景には、現在の治療法に対する不満、病気の進行に対する不安、痛みなどの体のつらさなど、きっと何か、未解決の悩みがあるはずです。もしそういった悩みから、代替療法を使いたい、と思い至ったのであれば、一度その悩みを、担当医に相談してみてください。
きちんと相談することで、担当医の方から、あなたの悩みを解決するための方法を示してくれるのであれば、それにまさることはありません。
もし、いきなり担当医に話をするのが、どうしても敷居が高いように感じるのであれば、『がん相談支援センター』やおかかりの病院の相談室にいる相談員に相談してみるとよいでしょう。場合によっては、担当医とあなたとの間で、上手に橋渡しをしてもらえることもあるはずです。

(更新日:2019年2月25日)